NEWS
お知らせ

KiP・入居者インタビュー Vol.006 ためま株式会社 清水 義弘さん

情熱をかけて事業に取り組んでいる人たちの話を、本人から直接聞ける機会がありがたい。

今回のKiP入居者インタビューはためま株式会社代表の清水 義弘さんです。同社はみんなのまちの掲示板「ためまっぷ」を展開し、地域がつながる仕組みをつくっています。本社は広島市ですが、代表の清水さんが神戸市に移住された経緯などをお聞きしました。

清水義弘(しみず・よしひろ)。地域力創造アドバイザー。2013年までSEプログラマーとして関東、米NYで就業。子どもに身内以外の人とのつながりを与えられない体験と3.11大震災時のボランティアをきっかけに退職。国内各地の地域活動を調査し、地域活動の情報流通不全が人の孤立化などの社会課題の根底にあり、全国一元化した次世代情報サービスの必要性を確信する。2014年、地域情報のインフラを構築する「ためまっぷ」を立ち上げ現在に至る。「実現するまでやる」がモットー。

ーーーKiPに入居されたきっかけは何だったんですか?

2017年に神戸市オープンイノベーション促進事業にてコープこうべによる実証支援を受けたことをきっかけに神戸に関わり、2018年7月にUrban Innovation KOBE※に採択されて、神戸市長田区との協働実証を行った後、神戸市中央区でも自社サービス「ためまっぷ」の成果が出たので、ユーザーの近くで確認する距離感にいないとサービスが伸びないだろうと思い、KiPスタッフの横山さんが誘ってくれたのもあり、神戸市に移住し、2020年4月にKiPに入居しました。

※Urban Innovation KOBE|子育てイベント参加アプリの実証開発
https://urban-innovation-japan.com/project/kobe-city/2018-1/nagataku-childcare/

また、SDGsCHALLENGE※というKiPの運営者でもあるコミュニティリンクとUNOPSのプログラムに採択されたのも大きいですね。KiPに入居したことがやっぱり成長の大きな点になっているので、KiPに感謝しています。

※ためま株式会社 – SDGs Challenge
https://sdgs-challenge.jp/startups/124/

ーーーそもそも「ためま」の事業をはじめたきっかけはなんだったんですか?

子どもといっしょに近所の公園に出かけた際「次にどこに行こうか?」となった時にショッピングモールぐらいしかなくて。自宅から遠い遊べる施設で「友だちできたよ!」と子どもから話を聞いても、その友だちに次に会うことはなくて。やっぱり近所に祖父母がいて、親の代わりに褒めたり叱ってくれたりするような成長できる環境が必要だなと感じました。普段SEプログラマーとしてサービスを開発しているけれど、近所のことはぜんぜん知らなくて。そう考えると無性にせつないというか悲しくなってきたんですが「近所のことがわかるサービスがあればいいよね」と東京の職場で言っているだけだったんですね、当時は。

そんなことを考えていたときに東日本大震災が起きて、会社を休ませてもらって1週間ほどボランティアに行ってきたんです。ボランティア活動中は寝るのは夜中1時ぐらいで朝は3〜4時に起きる生活だったんですよ。3日目ぐらいからフラフラになっていたんですが、朝ごはんの支度を現地のおばちゃんたちが手伝ってくれて。おばちゃんが「ありがたいからお返ししなきゃね」って言うんです。家族を亡くしたり、家が倒壊したり、それどころじゃない状況なのになぜそういう振る舞いができるのだろうと感じていました。

そんな体験から何もしないと後悔先に立たずだと思って。それで私のため、地域のためのサービスということで「ためまっぷ」をつくり、起業しました。

ーーー先ほどおっしゃったように、神戸市長田区との協働実証がきっかけで神戸市に移住されたんですか?

そうですね。もともと開発業務はパソコンがあればどこでもできますし、コロナ禍に突入してからは完全にリモートワークに切り替えていたので困ることはなかったです。
神戸市長田区の職員さんたちとサービス「ためまっぷながた」をつくったんですが、職員さんたちが地域のためならなんでもする方たちで、普及のためのサポートをすごく手伝ってくれました。その中で長田区に住むお母さんたちにインタビューさせてもらったのですが、そこから子育て世代の切羽詰まった状況が見えてきました。

「ためまっぷながた」を利用してくださった方にお話を聞くと「居場所が見つかった」とか「この場所から引っ越したくないです」と言ってくださる方もいて「本当に私たちのつくったサービスが役に立つんだ!」と実感できました。

ーーーそれはすごいですね。KiPに入居してみて何か参考になることはありましたか?

起業家の方からちょっとしたことが聞きやすくなりました。例えば大津さん(株式会社Compass 大津 愛さん)とか「優秀なスタッフさんをどうやって集めているんですか?」と聞いたらご自身の体験を教えてくださったり。何度も顔をあわせることで、起業家の方と友だちになったり、仲良くなれるのがうれしいです。ほかの方にもSNSの使い方とか教わりました。ぜんぜん使えていませんが(笑)

グッドマン(Advice from GOOD MAN。業界のトップランナーから「起業」に関しての「わたし理論」をアドバイスしてもらえる講座)も参考になります。ものすごい情熱をかけて事業に取り組んでいる人たちのエピソードやノウハウを、ご本人に直に会って聞ける機会があるのがKiPの良いところですね。

取材・文/狩野哲也 撮影/横山宗助